「今日は大安だから」「仏滅の日に契約はちょっと」——カレンダーや手帳の隅に並ぶ六曜の文字は、意識せずとも日々の暮らしの端々に溶け込んでいます。けれど、なぜその日が吉とされ、なぜあの日は凶とされるのか、正確な由来まで知っている方は案外少ないのではないでしょうか。今日は、六曜という暦のしくみと、意味を知ったうえで軽やかに付き合うための作法をご紹介します。

六曜とは何か

六曜は、14世紀ごろ、鎌倉時代末期から室町時代にかけて中国から日本へ伝わったとされる暦の考え方です。もともとは一日の中の時刻ごとの吉凶を占うためのものだったと言われており、今のように一日全体の吉凶を表す形として広く暮らしに根づいたのは、幕末以降のことだとされています。長い年月をかけて姿を変えながら受け継がれてきた、息の長い暦の知恵と言えるでしょう。

六曜の巡る順番

六曜は「先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口」の六つが、この順番のまま毎日一つずつ規則正しく巡っていきます。赤口の次はまた先勝に戻り、以降も同じ並びが繰り返される——曜日のように、あらかじめ決まった周期で回っていく暦なのです。現在私たちが目にしているこの名称と並び順が定まったのは、江戸時代の天保年間(1830〜1844年ごろ)と言われています。

先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口、それぞれの意味

友引に葬儀を避ける理由

六曜の中でもとりわけ暮らしに影響を残しているのが、友引にまつわる言い伝えです。もとは単に「勝負がつかない日」という意味だったものが、「友を引く」という字面の解釈から、「友引の日に葬儀を行うと、故人が友人をあの世へ引き連れてしまう」という言い伝えが生まれ、友引に葬儀を避ける慣習が広まったとされています。一方で、慶事においては同じ「友を引く」という響きが「友を幸せに引き寄せる」と好意的に受け止められることもあり、結婚式などではむしろ友引が選ばれることも少なくありません。同じ一日でも、慶事と弔事とで正反対の受け止められ方をされてきたところに、六曜という言い伝えの奥行きがあらわれています。

六曜との付き合い方 ― 節度ある楽しみ方

六曜は、暮らしの節目に少し立ち止まるきっかけを与えてくれる、古くからの言い伝えです。とはいえ、大安の日だから物事がうまく運ぶ、仏滅の日だから避けたほうがよい、と思い詰める必要はありません。これは厳格な決まりではなく、あくまで気持ちよく物事を進めるための目安。契約や引っ越しの日取りに大安を選んで気持ちよくスタートを切ったり、仏滅の日は少し慎重に予定を組んでみたり——六曜を、日々の選択にひと呼吸置くための物差しとして、気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。カレンダーの片隅の文字に、そんな軽やかな楽しみ方を添えてみてください。