輪の花に、言葉を託す。花言葉というならわしは、声に出しにくい想いを花に代弁してもらう、ゆかしい文化です。花束を選ぶとき、部屋に花を飾るとき、花言葉をひとつ知っているだけで、その花はただの彩りではなく「意味を持った贈り物」に変わります。今日は、花言葉の由来と楽しみ方のお話です。

花言葉はどこから来たのか

花言葉の起こりには諸説ありますが、よく知られているのは、花や品々に想いを託して伝える近東の風習が、旅人たちの手記を通じて十九世紀のヨーロッパに紹介され、やがて花言葉の本が編まれて社交の楽しみとして流行した、という流れです。日本へは明治の頃に伝わったとされ、西洋の花言葉をもとにしながら、日本の花には日本らしい言葉が加えられていきました。

そのため、同じ花でも国や図鑑によって花言葉が異なることは珍しくありません。「どれが本当の花言葉?」と迷ったら、それは間違い探しではなく、その花がそれだけ多くの人に愛され、多くの物語を持っているしるしだと考えるのが、この文化の粋な楽しみ方です。

親しまれている花言葉たち

広く知られている花言葉を、いくつかご紹介します。

贈るときの小さな心づかい

花言葉を添えて花を贈るなら、コツはただひとつ、「言葉を花に言わせすぎない」ことです。花言葉はあくまで添え物。「この花、『感謝』という花言葉なんだそうです」という一言をそっと添えるくらいが、押しつけがましくなく、いちばん心に届きます。

また、花の中にはあまり明るくない花言葉を持つものもあります。とはいえ、花言葉は厳密な決まりごとではありませんから、過度に気にする必要はありません。相手の好きな花を選ぶことが、どんな花言葉よりも雄弁な想いの伝え方です。

自分のために飾る花

花言葉は、誰かに贈るときだけのものではありません。今週の自分に「希望」を足したいならガーベラを一輪、静けさが欲しい週は白い花を――そんなふうに、自分の部屋に飾る花を花言葉で選んでみるのも、暮らしにささやかな彩りを足してくれます。目にとまる場所に飾った一輪は、置き場所の埃を払い、水を替えるたびに、自分がいま何を願っているのかを思い出させてくれます。願いを形にして身近に置くという意味では、お守り待ち受け画像と同じ、心の道しるべの仲間なのです。

次に花屋の前を通りかかったら、足を止めて、今日の自分に一輪選んでみてください。花に託した小さな言葉が、その週のあなたの、静かな味方になってくれるはずです。